NTTドコモ『実質0円』見直しに見る、スマホの高い通信費の問題点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

NTTドコモ『実質0円』見直しでiPhoneなど人気の機種が『実質値上げ』に

SnapCrab_NoName_2016-1-18_2-56-21_No-00

NTTドコモが主要スマートフォンの販売価格を近く引き上げることがわかりました。

『スマートフォンなどの端末の購入費用が現行より1万~2万円の上昇』

総務省の指導により、MNPによる乗り換えや2年契約を結んだ新規顧客に対して月々の通信料金を割り引く形で端末代を『実質0円』で販売していた戦略を転換。

月額5,000円以下で利用できるスマートフォンの新プランの新設などで、月額料金を安くする代わりに『実質0円』のサービスを縮小するみたいですね。

今回の料金値下げの騒動は、キャリアのサービスが改悪になっただけで利用者にとってもほとんどメリットがなく、このまま行くとライト層には格安スマホの方がおすすめという流れは変わらないかもしれません。

危機感のない大手キャリアにはいずれ鉄槌が下り、MVNOにシェアが喰われるのも時間の問題かもしれませんが、毎月の通信費は安くならずに結局スマートフォンの販売価格だけが上昇した『実質値上げ』の問題点にこのブログで切り込みます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

世界一安い日本のiPhoneも値上げ

ソフトバンクグループの孫正義社長は都内で開かれた決算会見の場で、日本は『世界で最も進んだ通信ネットワークを持っており、そしてAppleのiPhoneを世界で一一番やすく提供している国』ということを認識していただきたいと述べました。

そんな中でNTTドコモの販売戦略の見直しでスマホの販売価格が1~2万円上昇、当然ソフトバンクもこれに追随してiPhoneなど人気機種の価格も上がることでしょう。

2年縛りのキャリアのプランを契約すればiPhoneが『実質0円』で購入できるのはとても魅力的でした。それがこれからは総務省の横槍で制限されることに、他のハイエンドスマホのXperiaやGoogleNexusの購入費用も高くなることになります。

2年ごとにスマートフォンを買い替えるユーザーにとって『実質0円』の是正はサービスの改悪と言っていいでしょう。

NTTドコモ『実質0円』見直しに見る問題点

日本の通信ネットワークは非常に優れていて、大手のキャリアは高品質な通話、通信回線を利用者に提供しています。

キャリアのプランはそれほど悪くはない

現在のスマートフォンの料金をみても、キャリアのかけ放題2GBのプランで月額6,500円ほど。かけ放題は24時間国内への通話を一定の金額で利用できることを考えると、仕事やプライベートでよく電話を利用する人にとってはけして高い金額ではありませんでした。

さらに乗り換えなどで最新のiPhoneやXperiaを『実質0円』で購入できることは、1~2年でスマホを買い替える人にとってメリットがありました。

世界的にみても携帯電話(ガラケー)の利用料金は安い

フィーチャーフォンいわゆる『ガラケー』の利用料金の平均は月額2,700円と世界の平均と比較しても普通で、キャリアの高品質なネットワークを使用できる携帯電話をこの料金で維持できることは非常に評価できる部分です。

ただ家計に占める携帯電話料金の金額は大きく上がっている

日本の従来の携帯電話(ガラケー)の料金は比較的安いのですがスマートフォンの利用料が高いのです。2002年では一人当たり月額平均約4,000円前後だった携帯料金が、2015年には月額約7,000円へと3,000円ほど高くなっています。割合にすると70%増、デフレ下でも携帯電話料金だけは高くなり続けました。

通信会社も総務省も論点がずれている

総務省がスマートフォンの利用料金が高いから月5,000円以下のプランを出せ!と言ってきたので、ソフトバンクは渋々データ定額1GB月額4,900円のプランを登場させましたが(税込だと月額5,000円を越えるので、この価格設定には総務省への皮肉が感じられます)、その代りに端末価格の割引サービスが縮小され、機種の購入費用が1~2万円上昇するのでトータル費用は結局高くなることに。

無駄に政治家や有識者が通信費の問題について議論してますが着地点はユーザーにとって最悪の結果になりました。

▶問題はそこじゃない

正直一般ユーザー(消費者)として論点がずれてると思うのは、実質0円もキャリアの料金プランも言うほど悪くはないのです。問題なのは『スマートフォンにライトユーザー向けのプランがないこと』なのです。

■電話やメールをほとんど利用しない利用者なら携帯電話(ガラケー)を月額1,500~2,000円で利用できるのに、なぜスマホでもそういうプランを出さないのか?

■MNPやスマホの買い替えをあまり行わない、長期スマホユーザーに対しての料金の割引などの優遇をなぜしないのか?

利用者が思っていることはこの辺の問題の解決なのです。

過去にもキャリアは似たような問題を起している

もう10年ほど前になりますか、当時も携帯電話は0円(無料で)購入できるのが一般的な考え方でした。しかしその端末価格は利用料金に上乗せされていて長期利用者ほど損をする仕組みでした。

その時も総務省の指導が入り、端末価格の上乗せを取りやめると携帯電話(ガラケー)の月額料金が1500円ほど安くなった記憶があります。

今のスマートフォンの料金プランにも当然、この『実質0円』の機種の購入代金が上乗せされていて、スマホが高性能化した分端末価格も上昇しています。

最近のiPhoneの販売価格は10万円近くしますから、当時の高性能なガラケーと比べても端末価格は2倍以上になっているので、もしこの上乗せを通信会社がやめたのならスマホの通信費が最低でも2,000~3,000円程度安くなると思います。

スマホを最新の機種によく買い替える人にとって『実質0円』はかなりメリットがあるのですが、逆にスマホを長く大切に利用する人や普段から携帯電話をあまり利用しない長期ユーザーにとって損になります。

実質0円等の『新規契約者への過剰な現金還元』の資金の負担を通信料金として、結局消費者(特に長期ユーザー)が負担するのは納得いきません。

NTTドコモ『実質0円』見直しに見る、スマホの高い利用料の問題点 まとめ

2017年以降には従来のガラケーの生産は終了、徐々にガラホ(ガラケー+スマホ)への乗り移りが迫られています。ガラケーよりもガラホの方が端末の販売価格も高く、ほぼテータ定額プランへの加入が必須になるので料金単価の値上げ、通信会社の収益増が見込めます。

ガラケーと比較してスマホは2~3倍の利用料金になりますから、ガラホも同じように料金が高くなるでしょう。

大手の通信会社が利益追求ばかりに走り消費者を無視した経営をこれからも行うのならばもう我慢できません(特に通信費に端末価格の上乗せ)。

『実質0円の撤廃』や『月額5,000円もする1GBの定額プラン』など、どうでもいい内容の議論に時間とお金を使ってこのままライト層向けの料金プランを出さないのなら、ますますMVNO(格安スマホ)への利用者の流出が止まらないでしょう。

今はまだ『格安』や『サポートが悪い』等、あまりいいイメージを持ってない消費者が多いかもしれませんが、格安スマホの利便性や料金の安さ、そして思ったよりも質は高いぞ!と消費者が気づき始めたときに、キャリアの真価が問われます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加