大手MVNOの楽天モバイルでは、通常の『音声通話プラン』と『データ通信プラン』に加えて、新たに050番号+データ通信が可能な『050データSIM』の提供を開始しました。
この「050データSIM」は、IP電話と呼ばれる050番号で通話が利用可能なプランで、通常の音声通話プラン(通話SIM)と比較して料金が月/580円ほど安く、SMS(ショートメッセージサービス)も使えて一見お得そうに見えますが……
あまりこのプラン(050データSIM)はお勧めできません。
楽天モバイルの『050データSIM』がお勧めできない3つの理由
■まずは各料金プラン(SIM)の簡単な解説から
「通話SIM」とは090、080、070の電話番号で通話が利用できる、いわゆる普通のSIMカードです。格安スマホを契約する多くのユーザーが選択するのがこちらのプランになります。
「データSIM」とはインターネット通信専用のSIMカードで、こちらのプランでは電話を掛けることができません。データSIMの主な使い方としてはタブレットや、モバイルルーターなどデータ通信のみを利用するときに使います。
■050データSIMとは?
そして今回楽天モバイルが新たに提供を開始した「050データSIM」は、IP電話と呼ばれるインターネット回線網を使用した050番号発信の料金プランになります。
IP電話は通話料金が安いのが特徴ですが、その利用にはいくつかのデメリットが存在し、通常の090~070番号(電話回線網)発信のプランと比べて色々と劣る面があります。
050番号(IP電話)のデメリット
①050番号は通話の品質が不安定
普通の携帯電話で使用されている音声通話(090、080、070番号)は、専用の通信技術を使用して電話のやり取りをしているため、通話の品質が良く、音声も安定しています。
それに対してIP電話はインターネット回線を使用しているため、帯域の混雑状況によっては音質が劣化したり、ラグ(通話の遅延)が発生したりします。
②050番号は電波の状況によっては途切れることがある
050番号のIP電話は電波状況が通話の品質に影響を与えます。
電話を掛ける場所によっては通話がかすれて聞こえたり、ひどいと途切れることもあるようです。またMVNOの提供する格安SIMは、お世辞にも通信速度が速いとは言えないので、あまりIP電話向けのプランではないと思います。
(電波が安定していると言われるNTTDoCoMoやau、ソフトバンクなどの大手携帯キャリアの通信回線でもIP電話は音質が低くなると言われているのに、MVNOのデータ回線で050番号はお勧めとはいえない)
③050番号では緊急電話をかけることができない
050番号のIP電話では110(警察)や119(消防、救急)といった、緊急通報に電話を掛けることができません。(これでは万が一の時に困ります)
【まとめ】楽天モバイルの『050データSIM』を契約してはいけない3つの理由
050番号を使用したIP電話(050データSIM)は日常的に使用するには不便なことも多く、楽天モバイルで申し込むなら普通の音声通話プラン(通話SIM)がお勧めです。
一応IP電話は通話料金が安くなるのですが、料金の節約に関しても楽天モバイルには「5分かけ放題プラン」や、通話料金が半額になる「楽天でんわ(アプリ)」が用意されていますし、友達同士の会話ならLINEの無料通話を利用する方法もあります。
楽天モバイルを契約するときは料金が安いからと言って、間違って「050データSIM(IP電話プラン)」に申し込まないよう気を付けてください。
「050データSIM」の使い道を考察
050データSIMの使い道としては、メインで使用している携帯電話が故障や盗難、不慮の事故等で全く使用できなくなった時のために、予備のスマホとして役に立つかも。
1番安いベーシックプランなら利用料金は月額645円、「ZTE BLADE E01」など、価格が1万円台の安いAndroid端末を購入すれば1ヵ月当たり1,000円以下でスマートフォンを持つことが可能です。
050番号のIP電話でも電話(着信・発信)が利用できるので、万が一の時の保険として「050データSIM」は有効かもしれません。