ソフトバンク向け格安SIMが登場しない3つの理由

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 なぜSoftBank回線を利用した格安SIMが登場しないのか?

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毎月の携帯電話・スマートフォン代が大幅に節約できる格安スマホ、MVNOが提供するSIMカードを利用すればiPhoneすらも大手携帯キャリアの半額以下の利用料金で使用できる便利な格安SIM。

最近ではUQモバイルがMVNOのなかで初めて公式のiPhoneを発売するなど、格安スマホサービスも大夫充実してきました。

■UQモバイルのiPhone5sプランについての詳細はこちらの公式サイトで確認できます

※何とあのiPhone5sが月額2,680円(税別)から契約可能です!

格安スマホならUQ mobile



NTTドコモ利用者向けの格安SIMでは『楽天モバイル』や『IIJmio』『OCNモバイルONE』

au利用者向けの格安SIMだと『mineo』や『UQmobile』あたりが有名なMVNOですが、なぜかソフトバンク利用者向けの格安SIM(格安スマホ)を提供するMVNOはまだ存在していません。

格安スマホ市場はNTTDoCoMo系列のMVNOがほぼ独占状態。au系の格安SIMもあるのですがシェア10%未満とNTT系の格安SIMの方が圧倒的に多いです。

iPhone導入の遅れでここ数年は前年比契約純増数で最下位と、最近低迷していたNTTDoCoMoでしたが、格安スマホが普及し始めた2014~2015年には契約純増数で再び1位を奪取するなど、近年では格安スマホ(格安SIM)を利用するユーザー層を無視することのできないほどに、その数と影響力が増してきたと思います。

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なぜSoftBank向け格安スマホ(格安SIM)がでないのか?

過去にYahoo!BB立ち上げやボーダフォンの買収など4000億円もの赤字を出しながらも、日本にインターネットを普及させるためNTTを相手に通信会社を立ち上げるなど改革に余念がなかった孫正義社長。2008年にいち早く世界的に人気となるAppleのiPhoneを販売し、先見の明があったSoftBank。

格安スマホの普及に関しても保守的なNTTよりソフトバンクの方が真っ先に参入しそうなものですが、なぜソフトバンク(SoftBank)は格安スマホ市場への参入に消極的なのか?考察してみたいと思います。

■過去に日本通信からソフトバンク向けの格安SIMが登場する話があった

2016年8月現在、ソフトバンク向けの格安SIMを提供しているMVNOは1社もありません。

以前に日本通信からSoftBankユーザー向けの格安SIMを発売する話が持ち上がっていたのですが、いまだに実現していません。

一応ソフトバンクの携帯電話(スマートフォン)でも端末のSIMロック解除を行えばNTTDoCoMo系列の格安SIMでも動かせます。

しかしキャリアごとに通信方式が微妙に違ったり、MVNOが他のキャリアのスマホで動作の確認をしていないなど、ITガジェットに詳しくない一般の方にとって手持ちのスマホをSIMロックを解除して格安スマホとして使用するのは敷居が高かったりします。

ソフトバンク向け格安SIMが登場しない3つの理由

ではなぜ?ソフトバンク向けの格安SIM(格安スマホ)が登場しないのか?その理由を考えていきたいと思います。

ソフトバンク系ネットワークの回線利用料が高かった

まずソフトバンク向けの格安SIMがない1番の理由としては『ソフトバンク系ネットワークの回線利用料が高かった』と言う点が挙げられます。

MVNOは大手通信企業MNO(NTTDoCoMoやau)から通信網を借りてサービスを提供しているのですが、その回線使用料がソフトバンクは高かったのです。

2015年4月1日時点でのMVNO向けの接続料はそれぞれ

■NTTDoCoMo:94万5059円
■KDDI(au):116万6191円
■ソフトバンク:351万7286円

ソフトバンクの回線使用料だけが、他社の約3倍ほど高かったのです。

ただでさえ格安スマホは利用料金が安くてMVNOはそれほど儲かっていないのに、これじゃ経営ができない訳です。

【追記】2016年4月にソフトバンクの回線接続料が値下げ

2016年4月1日から大手携帯キャリアのMVNO向け回線接続料が約2割ほど値下げされました。

■NTTDoCoMo:94万5059円→78万509円
■KDDI(au):116万6191円→96万7983円
■ソフトバンク:351万7286円→116万6697円

ソフトバンクの回線接続料も約351万円→116万円に値下げされたので、今後ソフトバンク携帯向けの格安SIMを提供するMVNOが現れるかもしれません。

ソフトバンクはiPhoneの販売数が多いからこそ格安SIMの普及には消極的?

2015年のiPhone6s/PLusの各キャリアからの販売台数比率はこのようになっております。

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※参考資料 www.teach-me.biz

2014年9月19日から2015年3月16日までの、約6か月間のiPhone累計販売台数シェアはソフトバンクが43.5%と半分近いシェアを獲得。次いでau(KDDI)が35.2%、NTTドコモが21.3%という結果でした。

このようにiPhoneの販売台数はソフトバンクが一番で、その依存度の高さが伺えます。

■格安SIM+iPhoneは最強の組み合わせ

格安SIMを利用したスマートフォンは本当に素晴らしいです。

例えば『SIMフリーiPhone』+『格安SIM』の組み合わせならば、最新のiPhoneSEですら月額1,700円前後で使用することが可能です。最初に端末の購入費用が掛かることやサポートが少ない等、格安SIM独自のデメリットや注意点を理解して運用する必要がありますが、それでもキャリアの半額以下の料金でiPhoneが持てるのは魅力的です。

これからもっと格安スマホ(格安SIM)に関しての知識が広まれば、こういった使い方をする人も増えてくると思います。

そして格安SIMを使用したiPhoneが普及して困るのが大手の携帯キャリアです。

大手携帯キャリアの通信プランは月額6,000~8,000円ほどです。それが格安SIMのiPhoneだと端末代込みでも月額3,000円前後で利用できます。そうなるとキャリアはMVNOから回線の接続料を受け取っているとはいえ、大幅な収益減のおそれがあります。

日本国内のシェア50~60%を占めると言われるiPhoneユーザーが格安SIMの利便性に気付き、MVNOに乗り換えたとすると大手キャリアには大ダメージです。

通信費が半額以下になるということは、通信キャリアにとっは料金収入が半分以下になり収益が下がるわけです。高い利用料金を払ってくれる利用者がいるからこそ携帯電話会社は大儲けできるのです。当然格安スマホに乗り換えるユーザーが少ないほうが携帯電話会社にとってはいいのです。

特にiPhoneの販売比率が高いソフトバンク向けの格安SIM(MVNO)が登場したとなると、一部のユーザーがMVNOに乗り換えてソフトバンクの収益減、ダメージ大。

逆にiPhoneの導入が遅れiPhoneのシェアがそこまで高くないNTTDoCoMoにとっては、多少収益が減ってでもMVNOに回線を提供して全体の利用者増を目指した方が経営戦略的に得策と考えたのでしょう。(格安SIMには携帯電話としての使い方以外にも、タブレットやモバイルルーター用の通信SIMとして利用できます。それに関しては既存の顧客(携帯電話利用者)との食い合いもなく新規に市場、ユーザーを開拓できるので格安SIMの市場は今後もさらに伸びると思います。)

こういった事情を背景にソフトバンクはiPhoneの販売比率が高いからこそ、そこに縛られ格安SIMの導入には積極的になれないのです。

NTTが独占していた固定回線市場に低価格なADSLで新規参入しその普及に努めたり、真っ先にAppleのiPhone販売を始めて利用者数を増やしたりと、常に時代の先端を走っていたSoftBankが格安SIMの販売戦略では一番保守的に見えるのは何とも皮肉なものです。

Y!mobile(ワイモバイル)がMVNO(格安スマホ)的位置づけ

かつて独立した通信事業者だったイー・アクセスとウィルコムが合併してできたブランド『Y!mobile(ワイモバイル)』

現在Y!mobileはソフトバンクに吸収され、ソフトバク傘下の通信事業として、大手携帯電話会社の半分程度の料金でスマートフォンプランを提供しています。

■Y!mobile(ワイモバイル公式サイト)Y!mobileのスマートフォンなら!

■Y!mobileブランド誕生の流れ

元々前身のイー・モバイルは業界第4位の携帯電話会社(通信会社)でした。それをSoftbankが買収、そしてPHSで有名だったウィルコムが合併してできたのがY!mobileです。

Softbankグループの連結対象会社にメインの移動体通信事業者であるソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)があり、このソフトバンクモバイルとY!mobileの双方が同じ連結対象会社である場合、総務省から「一体の移動体通信事業者」と判断され、Y!mobileが所有している通信帯域を国に返還しなくてはならない可能性がでてきます。

そのためY!mobileは経営上ソフトバンクの支配からある程度の独立性を確保し『別個の移動体通信事業者』の立場を確保しなければならないのです。

■法の抜け穴を使って上手くイー・モバイルを買収したソフトバンク

当時イー・モバイルが持っていた800MHz帯のプラチナバンドをソフトバンクが欲しがっていて→企業買収の流れになったと記憶していますが、電波(通信帯域)というのは公共財産なので法律上いち企業が独占するのは好ましくなく、本当はイー・モバイルの帯域を国に返還しないといけないはずですが、そこは上手く法律の隙間を突いて(方法はグレーですが)イー・モバイルの買収に成功していると思います。

そのへんの微妙な関係もあってY!mobileは事実上ソフトバンクの完全子会社なのに立場は別企業扱い、ソフトバンク傘下のブランドなのに個別の通信会社という、奇妙な立ち位置にあるのが現在のY!mobile(ワイモバイル)です。

■Y!mobileはソフトバンク系の格安スマホ?

Y!mobile(ワイモバイル)は大手携帯キャリアと同じMNOであり、本当はMVNOとは違うのですが、ここでは分かりやすくするため便宜上Y!mobileはソフトバンク系の格安スマホということで話を進めて行きます。

※厳密に言うとY!mobileはMVNO(想移動体通信事業者)ではなく、NTTドコモやauと同じ自社で通信回線を保有しているキャリア(MNO「移動体通信事業者」)にあたります。

Y!mobileはソフトバンク傘下のブランドですが、ソフトバンクよりも安い料金プランで携帯電話の販売を行っており、MVNOと違って通信速度も速くて安定しています。※自社で通信回線を保有しているMNO(キャリア)なので通信速度が速いのです。

最近では格安の料金でiPhone5sの提供も開始しました。

Y!mobileオンラインストア

巷ではY!mobileのiPhone5sはソフトバンクで売れ残ったiPhoneの在庫処分だと言われていますが、販売戦略としては理にかなっていると思います。後継機のiPhoneSEが発売され旧世代のiPhoneとなってしまった『iPhone5s』ですが、性能面ではまだ通用する機種です。

そんなiPhone5sをY!mobileではキャリアのプランよりも安い料金で利用できる点にはメリットがあります。(まだまだiPhone5sの需要は高い。)

またソフトバンクの在庫処分先ということは、いずれiPhone6やiPhone6sが登場する可能性がある!ということです。Y!mobileは格安SIMを提供しているMVNOと違ってキャリア(MNO)なのでサポートの質が高く、通信速度も安定して速いです(使えるエリアもソフトバンクと同じ)。

別に最新のiPhoneにこだわらないのならY!mobileのプランでも十分だと思います。

なぜSoftBank向け格安スマホ(格安SIM)が登場しないのか? まとめ

途中話が脱線したような気がしますが、短くまとめるとSoftBank向けの格安スマホ(格安SIM)がでなかった理由は『ソフトバンク回線の接続料金が高かった』です。

ただ2016年4月に回線接続料が351万7286円→116万6697円に値下がりしたので、この水準なら新規にソフトバンク向けのMVNOが登場するかもしれません。

現状ソフトバンクのスマホ(iPhone)でもSIMロック解除すれば、楽天モバイルやIIJmioの格安SIMを使えないことはないのですが、MVNOが動作確認をしているわけではないので動くかどうかは試してみないとわからない、完全自己責任になります。

そういったリスクを回避するためにも、ソフトバンク向けの格安SIMが早く登場するといいですね。

ついにソフトバンク(SoftBank)回線の格安SIMを提供するMVNOが登場?

2016年6月にMVNO業界でこんなニュースが流れました。

■ソフトバンク回線使用の格安SIM「U-mobile SUPER」登場

■SoftBank回線の格安SIMをU-Mobileが提供

ニュースの内容はNTTDoCoMoの回線網を借りて格安SIMサービス提供しているあの『U-mobile』が、ソフトバンク回線を使用した格安SIM『U-mobile SUPER』の提供を開始するという話がでました。

最初はついにソフトバンクユーザー向けの格安SIMが登場したか!?と期待したのですが、調べてみるとU-mobileが提供する『U-mobile SUPER』はワイモバイル(Y!mobile)のSIMを使ったプランだと判明しました。

ワイモバイル(Y!mobile)は一応、ソフトバンク傘下の通信企業でネットワーク回線もソフトバンクと同じものを利用しているのですが、ソフトバンクとワイモバイルの間でSIMの互換性は特にありません。(※ワイモバイルのSIMカードでソフトバンクのスマホは動かない)

※追記 厳密に言うとSIMロック解除したソフトバンクのスマホならワイモバイルのSIMカードが使えないこともないのですが、動作確認をしているわけではないので完全な自己責任で運用することになります。

ちょっと『U-mobile』のプランに期待したのですが少し残念です。

今年に入ってようやくソフトバンク回線のネットワーク接続料金が大幅に値下がりしたので、そろそろソフトバンク(SoftBank)向けの格安SIMが誕生してもいいと思います。

ソフトバンクのiPhoneでも手軽に格安スマホとして扱えるようになるSIMカードの登場がはやく待たれます。

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