楽天が第4の携帯電話会社を立ち上げる狙いとは?将来帯域売却で利益を上げる三木谷社長の戦略

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2017年12月14日、インターネット関連を中心に多数の事業を手掛ける楽天株式会社が、総務省が携帯電話用の周波数帯として割り当てを予定している1.7GHz帯と3.4GHz帯を取得して、NTTドコモ、au、ソフトバンクに次ぐ第4の携帯電話会社として携帯キャリア事業へ新規参入することを発表した。

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第4の携帯電話会社としての『楽天』

楽天はすでにMVNO(仮想移動体通信事業者として格安スマホサービスの『楽天モバイル』を提供しているが、大手携帯電話会社と同じMNO(移動体通信事業者)を目指すとなると訳が違う。

楽天では携帯電話事業を担う新会社を設立し、2019年にサービスの開始を予定しているというが、日本全国で基地局やアンテナを整備するとなると数兆円単位の設備投資が必要になってくる。

楽天では2019年に約2,000億円、2025年の時点で最大6,000円のお金を金融機関から借りて調達するといわれているが、大手携帯キャリアでは通信施設の維持・管理コストだけでも年間3,000~6,000億円の費用が掛かっており、全国に通信インフラを整備するとなるとこの程度の設備投資額では全く足りない。

また、通信基地局の整備には費用だけではなく、アンテナを設置する場所(土地)の確保が問題となってくる。

条件のいい場所は当然大手携帯3キャリアがすでに独占しており、0からインフラ構築するのは時間とコストが非常に掛かってしまい、効率的とはいえない。

『楽天』が携帯キャリアに参入する目的

楽天は第4の携帯電話会社として市場に参入し、家計に占める通信費負担を減らしたいといっているが、割安な携帯電話サービスではすでにMVNOの格安スマホがあるし、大手携帯キャリアと格安スマホの中間的な存在としてはワイモバイルやUQモバイルがある。

結局、楽天が『料金の安さ』を武器に新規に携帯電話事業に参入して、大手携帯3キャリアに対抗しようと思っても現実的ではない。

これまでも「ツーカー」「Jフォン」「イーモバイル」「ウィルコム」など色々な通信会社が誕生したが、資金的な問題や経営難で最終的には大手3キャリアに買収・統合されてしまった経緯があり、料金の安さだけを追求したら楽天も同じ道をたどることになるだろう。

楽天が携帯電話事業(MNO)に参入する狙いとしては、当然自社のMVNO事業(楽天モバイル)のサービス強化もあるが、新規に1.7GHz帯(Band 3)3.4GHz帯(Band 42)の周波数帯を取得することにより、例えば首都圏や名古屋、大阪など人口の多い地域限定で、大手携帯キャリアより安い企業向けの通信サービスを行ったり、MNOとして自社で回線を持っていればサービスの意思決定が他社に影響されずに迅速に行える利点を生かして、IoT関連で利益を挙げていくことも視野に入れているかもしれない。

投資家の立場からすると今更新規に携帯電話事業に参入したとして設備投資に見合うだけの利益が得られるか疑問が残る。それなら基地局展開は大都市など限定的な物にして、地方はNTTなどの回線を借りるローミング方式も考えられる。

初期の数年間の投資金額が約6,000億円ということを見ても、楽天が携帯電話事業を本気で押し進めるとは思えず、どちらかと言えば何か別の思惑があるように感じられる。

将来的に楽天は他の通信会社へ帯域の売却を狙っている?

現在日本の通信業界はトラフィック(データ通信量)の急激な増加という問題を抱えている。

携帯電話やスマートフォンなど移動通信帯のトラフィックは前年同月比30%位の割合で増えており、大手携帯キャリアが持っている帯域では足りなくなってくることが必至である。

仮に楽天が携帯電話事業への参入で赤字を垂れ流したとしても、1.7GHz帯(Band 3)と3.4GHz帯(Band 42)を他の通信会社(特にソフトバンク辺り)に売れば、大儲けできるかもしれない。

そんなことは総務省が許さないかもしれないが、楽天携帯の利用者が多ければ多いほど潰せなくなるので、建前上は利用ユーザーの保護という形で事業を譲渡すれば問題ない。

楽天は6,000億円の設備投資である程度減税効果が狙えるし、帯域と通信事業の売却で事業が失敗した時のリスクが減らせる。

事業を引き継ぐ大手の通信会社は、楽天が持つアンテナ基地局と新たな通信帯域が手に入るわけだから、多少、買収時に大きな損失が出たとしても、将来的な利益を考えれば投資としては悪くない。

ソフトバンクがイーアクセスを買収した時は有利子負債も合わせて約3,651億円で買収したが、楽天が持つ予定の1.7GHz帯と3.4GHz帯は同等か、それ以上の価値があると思われ、すでに楽天の三木谷会長とソフトバンクの孫正義会長の間で密約が交わされているかもしれない……。

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